テープとディスクバックアップはどちらが早い?続き

テープメディアの書き込み速度については、現在最高の性能を持ったLTO3でさえ 80MB/sであるから1時間に288GBのデータを書き込むことができる。並行して書き込みを行うなどのテープ装置だけでのバックアップ時間短縮の方法を除いても、ディスクに比べれば、同じ、もしくは遅いことがわかる。また、どんなに頑張ってもテープでは無くすことができない“テープメディアの入れ替え時間”がある。テープライブラリの中にはピッカーと呼ばれるロボットアームが1つ、ないし2つ搭載されている。バーコードの情報を読み込み、そのテープメディアが何番スロットにあり、バックアップソフトウェアの命令によりそのテープメディアを何番のドライブ(データを書き込む部分)に入れる。バックアップを取得したあとは、そのテープメディアをもとのスロットへ戻してあげる処理が必要である。その一連の流れの時間はテープへのバックアップをしている限り無くすことができない時間である。


テープへのバックアップで一番のマイナスポイントは、障害に弱いということである。障害のポイントはひとつはテープメディアの障害、もうひとつはテープライブラリの障害が考えられる。テープメディアは、お馴染みのVHSビデオテープと同じようにメディアの中へデータを書き込むためのテープが巻かれて収納されている。誰でも一度は経験していることだが、このテープが引っ掛かったり、テープに傷が付いたりすると記憶しているデータそのものが使えなくなってしまうことがある。障害が発生し、バックアップを取得しているはずのテープが使えない状態であったら、非常に大きな損失を被ってしまう。それを防ぐためにテープからテープへのコピー機能やテープRAID <詳細は、テープRAIDの仕組み>と呼ばれる機能が用意されている。テープは壊れるのである。それに比べてディスクは、最低限RAIDが組まれている。ディスク1本が障害となってもそのデータはRAID機能により守られている。ディスクのほうが障害には強いのである。


テープへのバックアップも悪いことばかりではない。導入に際して一番のポイントは外部保管ができることである。外部保管ができるということは、簡単に災害対策ができるということである。オフィスのビルとは別の場所にある銀行の耐火金庫などに納めておけば(同じビルの1階にある銀行の金庫では意味がないことはわかっていただけると思うが)、災害によりビルが崩落した場合でもデータだけは守られるからである。


テープバックアップとディスクバックアップは用途に応じて使い分けていただきたい。システムの重要度、データの必要性に応じてバックアップ媒体を変える、ディスクへのバックアップも良いのだという意識を持っていただきたい