災害対策システムの構築

過去3回にわたり災害対策というキーワードで情報を配信してきている。地震からデータを守れるかを書いた今だからこそ災害対策(地震からデータを守れるか?) - 誰かに任せておけないストレージ、災害対策とは具体的にはなにをしなければいけないのかをまとめた災害対策とは具体的になにをするのか - 誰かに任せておけないストレージ、少し視点を変えて高速ファイルアクセスを実現するWAFS機器の紹介WAFSによる災害対策 - 誰かに任せておけないストレージでも災害対策をまとめた。


しかし、災害対策システムを構築する上で考えなければいけないポイントを書き忘れているので、ここにまとめたいと思います。


災害対策というが実際に何を守ることが必要なのだろうか?
重要度という観点でみてみたい。

  1. 基幹系システム(メインフレームUNIX等の24時間止められないシステム)
  2. 情報系システム(メール、ファイルシステムなど)
  3. 元データ(失われれば二度と復旧できないデータ)
  4. 計算データ(元データがあれば計算による復元できるデータ)


基幹系システムとは企業活動、社会活動に無くてはならず、24時間止めることの許されないシステムである。記憶に新しいところでいけば、航空管制システムの障害、東証のシステムダウンなどがあげられるが、止まることでニュースになるようなシステムのことを言う。こういった社会的に影響の大きなシステムは災害対策をすべきだろう。

情報系システムは企業活動に必要であるが、止まっても代わりがあるようなシステムのことをいう。メールは基幹系システムメールはすでに基幹システム - 誰かに任せておけないストレージという内容をまとめたことがあるが、例えばFAXや電話など代わりになるような方法があれば基幹系とは必ずしも呼ばれないかもしれない。

データについては災害などで失われたときに二度と復元できない「元データ」と計算すれば復元できる「計算データ」がある。企業がこれまで蓄積してきた個人データ、ノウハウが詰まった企業活動に必要なデータなどいろいろあるが「元データ」だけはなんとしても災害対策として退避しておくべきだろう。


さて、システムとデータそれぞれに重要度を付けた。次に考えるべきポイントは、災害が発生してからどのくらいの時間で復旧するべきなのかということである。重要なシステムであれば災害が発生するしないに関わらずすぐにでも使い続けたいと思うだろう。復旧時間を考えると3種類のシステム構築が考えられる。

  1. そっくり同じシステムを災害対策サイトに構築
  2. 本番復旧まで予備的に使われる性能を落としたシステムの構築
  3. データだけを災害対策として退避

そっくり同じシステムを構築しておけば、災害が発生しても以前と変わらない性能で企業活動、社会活動に影響ない仕組みを作ることができるだろう。性能を落としたシステムであれば、例えば業務に最低限必要なシステムだけ提供することも可能であるし、性能は落ちているが災害が発生したのだからしかたがないとユーザも納得してくれるだろう。
以前も書いたがデータさえ守っておけばハードウェア、ソフトウェアを購入するだけで何度でもシステムは作り直すことができる。その意味ではデータだけを災害対策として守っておくだけで随分と対応が違ってくることになる。


それぞれに共通することはデータは必ず退避しておかなくてはならないということだと思う。データの退避方法は明日書いてみたい。