仮想化は誰のため?

メインフレームの時代からVirtualization(仮想化)について様々な技術が生み出されてきた。CPUやメモリなどサーバの仮想化についてはハードウェア機能や仮想化ソフトウェアにて実現されている。1台の物理的なサーバに複数のOSやアプリケーションを搭載することができ、逆に複数の物理的なサーバをまとめて1台のサーバとして動作させる機能を有しているハードウェアもある。


ストレージについては、仮想化がない環境では物理的、もしくは論理的なディスク(LUN)はサーバに対して1対1で割り当てられるのが一般的な構成である。しかし、1対1で割り振られてしまうとあるサーバでは90%も使用しているのに対し、あるサーバに割り振られたディスクドライブは10%も使っていないなどサーバの使用率、強いてはアプリケーションの処理、作りなどによりディスクドライブの使用率に大きな差が生まれてしまう。一度サーバへディスクドライブを割り振ってしまうとサーバ再起動を伴うメンテナンス時間を設けない限りサーバから使用していないディスクドライブを省くことができないため、24時間365日稼動を求められるシステムでは振り分けが難しい。


また、容量が足りず急にディスクドライブの拡張が必要になったサーバではサーバを停止し、外部ストレージ装置へディスクドライブを追加し、サーバを再起動させ、ドライブを認識しフォーマットをかけるという作業が必要になる。メンテナンスのために非常に長い時間システムを止める必要があり、かつ一歩間違えれば他のディスクドライブにも影響を与えかねない作業であるため事前のフルバックアップも取得したい気持ちになる。ストレージの仮想化は複数の物理的、もしくは論理的なディスク(LUN)をひとつのディスク(LUN)として仮想的に認識させる機能であり、大きくまとめると下記3つの機能が実現される。


1.ボリューム管理 - ディスク(LUN)の集中管理が可能となる。また、仮想ストレージ内でのボリュームコピー機
2.高速バックアップ - 上記ボリュームコピー機能を使用したバックアップの信頼性の向上、リストアの高速化を実現
3.リモートコピー - 長距離サイトへのリモートコピーを仮想化により実現

例えば、Bサーバへ100GBが急に必要となった場合でも、仮想ストレージの中から空いている領域を集めて100GBのディスク容量をサーバへ割り当てることがGUIの操作だけで可能となる。もちろんサーバ再起動は必要ない


仮想化を実現する製品は大きく分けると下記4つがあげられる。

・サーバ上で動作するもの
・ストレージ上で動作するもの
アプライアンス製品
・スイッチ上で動作するもの



以前からサーバ上に搭載するソフトウェア(下表、サーバソリューション)にて現在仮想化と呼ばれる機能が実現されているが、仮想化としてまとめたいストレージをすべてサーバのOS上に一時的にも認識させる必要があり、ボリュームの管理が複雑になるというデメリットがある。仮想化を実現する製品として下記の製品タイプが考えられているが、実用面から見るとスイッチ上で動作する仮想化製品が一番だと考える業界関係者が多い